自爆営業は本当に必要なのか
1. 厚労省が自爆営業防止に乗り出す。
2. 自爆営業が自殺原因と認定されるケースも。
3. 指針改正でパワハラ認識が広がる見込み。
厚生労働省は、社員に自社製品の購入を強いる「自爆営業」の防止に取り組むことを決定しました。自爆営業は、ノルマ達成のために社員が自腹で契約を結ばされたり、不要な商品を購入させられる行為を指します。このような行為が原因で自殺する人もおり、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に基づく指針に、パワハラに該当すると明記することで企業に対策を促す方針です。
愛知県では、金融機関で働く30歳代の男性がノルマ達成のために家族から借金をし、自殺に至ったケースがあり、名古屋高裁はこれを自爆営業が原因の一つと認定しました。パワハラは、優越的な関係を背景とした言動、業務上必要かつ相当な範囲を超える行為、労働者の就業環境を害する行為の3要素を満たす場合に認定されます。自爆営業もこれに該当するケースがあり、厚労省は指針に明示することで企業に対策を求める考えです。
島田陽一・早稲田大学名誉教授は、自爆営業が企業発展のための「必要悪」とされてきたが、現代では許されないと指摘し、指針改正によってパワハラの認識が広がれば、抑止につながると述べています。