中国の鉄余りは世界の鉄鋼業にどのような影響を与えるのか
1. 中国の鉄余りが深刻化し、輸出量が過去最高水準に達した。
2. 中国の鉄鋼業への補助金はOECD加盟国の10倍超。
3. 不動産不況で国内需要が激減し、余剰分が海外に流出。
中国の鉄鋼業は、過去に国際社会からの批判を受けて製鉄設備の削減を進めたものの、国内の不動産市況の悪化により需要が縮小し、余剰分が海外に流出しています。
昨年の鋼材輸出量は前年同期比22.6%増の1億115万トンに達し、過去最高だった2015年に迫る勢いです。中国は世界最大の粗鋼生産国であり、輸出分だけで日本の年間粗鋼生産量を上回る規模です。
経済協力開発機構(OECD)鉄鋼委員会によれば、中国の鉄鋼業への補助金はOECD加盟国の10倍超に上り、政府支援を背景とした過剰生産が国際問題となっています。
中国宝武鋼鉄集団の胡望明会長は、不動産不況による需要減少が続く中で、厳しい見通しを示しています。