自衛隊の新たな指揮体制はどのように変わるのか
1. 自衛隊の統合作戦司令部が新設される。
2. 南雲憲一郎氏が統合作戦司令官に起用される。
3. 日米の指揮統制連携が強化される。
防衛省は3月下旬に新設される自衛隊の統合作戦司令部のトップに、統合幕僚副長の南雲憲一郎・空将を起用する方針を固めた。新司令官には陸海空3自衛隊を一元的に指揮する権限が与えられ、3月の閣議で正式に決定される見込みである。
南雲氏は1989年に防衛大を卒業し、航空自衛隊に入隊。航空幕僚監部防衛部長や西部航空方面隊司令官を経て、2023年3月から現職を務めている。
新設の統合作戦司令部は、自衛隊の運用に関し、平時から有事に至るまで一元的に陸海空3部隊を指揮し、米軍との調整をより緊密に行う役割も担う。南雲氏の起用により、新司令部と統合幕僚監部との連携を強化する狙いがある。
統合作戦司令部の新設は、統合幕僚監部が部隊運用の余力が少ないとの指摘を受けてのもので、政府は2022年策定の安全保障関連3文書で「陸海空自衛隊の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部を創設する」と明記している。3月24日に防衛省のある東京・市谷に統合作戦司令部を発足させる予定である。
一方、米側も在日米軍を再編し、作戦指揮権を持たせる「統合軍司令部」を新設する方針で、組織体制の具体案を検討中である。日米首脳会談後の共同声明にも「自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みの向上」を目指すことが盛り込まれた。
日米の指揮統制連携においては、自衛隊と米軍が一体的に運用された場合の日本の指揮権の独立性の担保が課題とされている。