南海トラフ地震の新たな予測、死者数が29.8万人に達する可能性。

南海トラフ地震の新たな予測、死者数が29.8万人に達する可能性。

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南海トラフ地震の被害想定、私たちはどう備えるべきか
1. 南海トラフ地震の被害想定が更新され、死者数は29万8000人。2. 経済被害は292兆円に達し、国家予算の2.5倍。3. 国民に耐震化や迅速な避難行動を呼び掛け。

南海トラフ巨大地震の新たな被害想定が公表され、最悪の場合の直接死者数は29万8000人、全壊・焼失建物は235万棟に上るとされています。前回の2012年の想定よりも若干減少しましたが、政府が掲げた目標には遠く及んでいません。経済被害は292兆円に達し、国家予算の2.5倍に相当します。国は今後、目標達成に向けた計画の見直しを迫られています。

有識者会議は、従来の行政主体による対策だけでは限界があるとし、国民一人一人が住宅の耐震化や迅速な避難行動に取り組むよう呼び掛けています。最新の知見や防災対策に基づいて被害想定が改定され、地形や地盤のデータが高精度化した結果、被害を受ける地域がより広範囲に及ぶことが判明しました。震度分布も修正され、静岡県から宮崎県までの主に沿岸部の最大149市町村で震度7を観測するとされています。

被害の想定では、南海トラフ沿いでマグニチュード9級の地震が発生したと仮定し、揺れや津波のパターンを組み合わせ、季節や時間帯、気象条件のケースごとに被害を推計しました。死者数が最悪となるのは、風が強い冬の深夜に駿河湾から紀伊半島沖の断層が大きく動くケースで、21万5000人が津波、7万3000人が建物倒壊、8700人が火災で死亡する可能性があります。また、被災による疲労や病気で亡くなる災害関連死についても、最大で5万2000人と推計されています。
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