新たな預かり事業で待機児童問題は解決するのか
1. こども家庭庁が新たな預かり事業を開始。待機児童を対象。
2. 学童保育の要件を緩和し、短時間でも利用可能に。
3. 自治体に補助金を提供し、待機児童の減少を目指す。
こども家庭庁は、共働き家庭などの小学生を預かる「放課後児童クラブ(学童保育)」を利用できない待機児童向けに、新たな預かり事業を開始します。この事業は、学童保育の開設要件を緩和し、預かる日数や時間が短くても認めることで、都市部に多い待機児童の減少を図ることを目的としています。
5月時点での待機児童は1万8462人で、特に東京、埼玉、千葉で多く見られます。新事業は、50人以上の待機児童がいる市区町村を対象に、利用を待機児童に限定します。国の基準では、学童の開所日数は年間250日以上、授業がある日の預かり時間は3時間以上、ない日は8時間以上が原則ですが、新事業ではこれらの基準を短縮することが可能です。
待機児童の約半数は高学年で、習い事や塾通いで学童を毎日利用する必要がない子どもも多いため、こうしたニーズを取り込み、待機児童の減少につなげる狙いがあります。開設場所は、保育園の空き部屋など既存施設を活用し、学童で定められた面積に満たなくても認められます。
安全管理のため、複数の職員の配置が求められますが、学童で必要な「放課後児童支援員」であるかどうかは必ずしも問われません。この運用により、学童に新たに職員を雇うよりも費用が低額で済むとされています。
少子化で学童利用者の減少が予想されるため、全希望者を学童で預かれるようになるまでの代替措置として位置づけられています。こども家庭庁は、自治体に対して人件費などとして最大400万円を補助し、今年度の補正予算に約1億6000万円を計上して40程度の実施自治体を募ります。準備が整った自治体は、今年度から預かりを開始する予定です。