ドクターヘリの運用指針改定で災害時の課題は解決するのか
1. 厚労省がドクターヘリ運用指針を改定予定。
2. 災害時のヘリ運用で情報共有の問題が発生。
3. 訓練実施で運用の実効性を高める。
厚生労働省は、大規模災害時におけるドクターヘリの有効活用を目指し、運用指針を年度内に改定する予定です。昨年の能登半島地震では、孤立集落から患者を搬送する際に離着陸場所の確保が難航し、時間がかかる問題がありました。これを受け、災害対策本部が運航調整を一括して担い、病院側が救急搬送に集中できる体制を整えることを目指しています。
東日本大震災時には全国で26機あったドクターヘリは現在57機に増加し、能登半島地震では8機が出動し84人を搬送しましたが、情報共有の不足や複数のヘリが同じ現場に向かう混乱が生じました。改定では、災害対策本部と病院の役割分担を明確にし、情報のやりとりを災害対策本部が一手に引き受けることで、病院側が患者情報の共有に集中できるようにします。
また、都道府県に対しては、ヘリ運用に向けた訓練の実施を求め、関係機関と調整して離着陸場所や給油先を具体的に設けることで、実効性を高める方針です。鳥取大学の本間正人教授は、大都市の災害でも交通麻痺が生じるため、ヘリを生かせる体制がどの都道府県でも求められると指摘しています。